学校 |
---|
(さぁ、今日も一日、がんばるぞ。) (あっ、自転車が近づいてくる。……珍しいな、あの人。ヘルメットかぶってる……。) |
スチル |
「あっ、氷上くんだ。 「は、はい! |
学校 |
「おはよう、○○君。 「お、おはよう、氷上くん。……いつもこの格好なの? 「え?”この格好”とは? 「その、……ヘルメット。 「あぁ、これ。校則にあるだろう。 「”自転車通学者は、ヘルメットを着用すること”って。安全第一だからね。 「そうか……じゃ、その手は? 「これは、手信号だよ。この合図は、一時停止ってことさ。車のブレーキランプと一緒だね。 「……ほんとにしてる人、初めて見たよ……。 「そうかい?右折や左折をする時にも、周りの人に分かるから便利なのにな。 「自転車も交通手段の一つなんだから、ルールを守って乗りたいね。それでは、お先に! (氷上くん、教科書みたいな人だな……。) |
公園入り口 |
---|
(ちょっと待ち合わせに遅れちゃったかな?) (氷上くんは………………あれ?) |
スチル |
(ここにいた……。) |
公園入り口 |
「……あ、○○君。今、来たのかい? 「う、うん。待たせちゃったみたい。ごめんね、氷上くん。 「うん、待った。でも、おかげでキリのいいところまで読めたよ。だから、気にしなくてもいい。 「ありがとう。……それ、何の本?すっごく集中して読んでたね。 「ああ、これ?今日の展示物の予習だ。 「えっ? 「……というのは冗談だ。天体物理学の本だよ、なかなか面白いんだ。 「氷上くんが言うと、冗談に聞こえないよ……。 「ハハッ、僕だってたまには冗談くらい言うさ。 「さてと。逆に待たせてしまったね。……今日はよろしく。 |
校内 |
---|
「今日は、生徒会執行部の選挙の日だ。もうすぐ立会演説会が始まる……。 進行役「静かにしてください。次は、1年、氷上 格くんです。お願いします。 (あ、氷上くんだ。) |
スチル |
「私語をつつしみたまえ。君たちには、高校生としての自覚があるのか!? 「今は、自分たちの高校生活に大きな影響を与えることになる、新しい執行部役員を選ぶ時間だ。 「そのことをよく理解せず、自分一人くらいはしゃべってもいい、と考える生徒が多いのではないだろうか。 「そしてこの風潮は、何も、今に限ったことではない。 「つまり、今の羽ヶ崎学園は、決められたことが守れない生徒が多いということだ! 「そこで僕は提案する。学校生活の基礎となる校則を、もっと周知徹底させようではないか! (うわ、みんな怒っちゃった……。) 進行役「集計の結果、次の生徒会長は、佐藤一郎さんに決まりました。 進行役「それでは佐藤一郎さんに、次期生徒会長としての抱負を…… |
校内 |
「氷上くん。 「…………。 「今回は、残念だったね。 「ああ。……とても残念だ。 「正しいことを言っても、理解されない。……まぁ、いつものことなんだけれど。僕が、間違っているんだろうか? 「氷上くん……。 「また、嫌なヤツだと思われたかな……。でも、自分の考えにウソはないし……。結果は結果として、受け止めなきゃな。 「……すまない。少しひとりで考えたいんだ。失礼するよ。 (氷上くん……。元気出してくれるといいな。) |
図書室 |
---|
(借りてた本を返そう。……あれ?なんだか窓辺がにぎやかだなぁ。) (あ、氷上くんだ。) |
スチル |
男生徒A「なぁ氷上、この確率、どうやって求めるんだ? 「余事象の確率を求めれば、それが解だ。 男生徒B「氷上、”二月革命”って何だっけ? 「1848年2月、パリ市民による武装蜂起だ。 男生徒C「こっちも頼むよ、氷上! 「それは女御が帝に申し上げているんだ。次は? 「氷上くん、何してるの?……異様な熱気だね。 「え?……あぁ、君か。見ての通りさ、来週はテストだからね。 「みんなで助け合ってるんだ。君も参加するかい? 「あ、わたしは…… 男生徒D「氷上、これ教えて! 「失礼、待たせたな。これはミトコンドリアじゃない、葉緑体だ。 男生徒E「氷上〜っ、これ、勉強した方がいい? 「……君、ヤマをかけるべきはここじゃないだろう!? (氷上くん、なんだか、いきいきしてるな……。) |
ゴーカート |
---|
「○○君。僕には年の離れた従兄がいてね。 「……はい? 「頭が良くて、身のこなしがスマートで、僕の憧れの人なんだ。……彼は運転が上手くてね。 「う、うん……。 「小学2年生の春、ここで隣に乗せてもらったんだ。……しびれるくらいカッコ良かった。 「……そういうわけだから、僕はこれから、彼の運転を再現しようと思う。 「君は、あの時の僕の代わりだ。助手席に乗ってくれ! 「うん、いいよ。 |
スチル |
「そう、あの時はこんな感じだった!……スムーズなコーナリング、ブレの無い直線! 「氷上くん、再現できてる? 「ああ、ほぼ、こんな感じだ! 「……その時のスピードも、これくらいだった? 「……え? 「うっ、小学生に抜かれた……!?……しまった、安全第一が裏目に! 「……うん、そうじゃないかな、って思ったよ……。 「そうか、再現できていなかったのは、誰にも追い抜かれない”速さ”……。 「やっぱり……。 「なんだか無性に悔しくなってきた。走り終わらないうちにこんなこと言うのも何だけれど…… 「次こそは、スピードを意識する!そうとも、誰にも抜かせやしない! 「……○○君、もう一度、乗るぞ!! |
校内 |
---|
(あ〜、疲れた……。ちょっと休もう……。) (…………あれ?木陰に誰かいる……。) (あっ氷上くんだ……!) |
スチル |
(気持ち良さそうに寝てる……。起こさないようにしなきゃ……。) 「…………うん? |
校内 |
「あっ、起こしちゃった? 「いや、今、鳥が……。……あー、すっかり眠ってた……。 「フフッ。氷上くん、おはよう。 「ハハ……おはよう。……あー……目が覚めてきた。 「…………ん?ちょっと待て。君、いつからそこに? 「そうだねぇ、1、2分前ってとこかな。 「こ、こっ……これは、は、恥ずかしいところを、みせっ、見せてしまった! 「え?そんなこと……。 「こっ……ここは僕の、昼寝の特等席なんだ。 「……勉強に集中しすぎて疲れたら、ここに来て、リフレッシュするんだよ。人通りがないのが、ちょうどよくてね。 「そうなんだ……。 「そう、だから……この特等席のことは、他の人には内緒にしてほしいんだ。 「うん、わかった。氷上くん、安心して。このことは、内緒! 「ありがとう、○○君。見つかったのが君で良かった。 (フフッ、氷上くんの秘密、ひとつ知っちゃった。) |
金閣寺 |
---|
「金閣寺って、本当に金色なんだね! 「まぶしいくらいだね。僕としては、水面に映る姿の方が風情があると思うけど。 「でも、海外の友人へのお土産に一枚くらい、写真を撮ってもいいな。 「えっ、外国に友達がいるの? 「ああ。ネットのチェスで対戦してるうちにちょっと親しくなったのが、ひとりね。 「すごい!氷上くんって、英語ペラペラなんだね。 「いや、チェスとメールだけだから……。文通、と言えばいいかな。学校の英語だけでも、なんとかなるよ。 「そういうものかな?ううん、やっぱりすごいよ。 「買いかぶりすぎだよ、君は……。……写真を撮ったら、次に行こう。あまり時間が無いし、な。 |
清水寺 |
「ここは是非とも来たかった!清水寺! 「”清水の舞台”、本当に高いね!吸い込まれそう……。 「……○○君。ひとつ、お願いがある。 「いいよ、なに? 「僕の写真を一枚、撮ってもらいたいんだ……。頼めるかな? 「もちろんだよ。……で、どこで撮る?舞台がいい?それとも、本堂をバックにする? 「いや、違うんだ。あの……”弁慶の錫杖”で、頼むよ。 「”弁慶の錫杖”? 「そう!重さにして約90キロ、持ち上げられれば立身出世するという、”弁慶の錫杖”だ。 「正直に言って、腕力に自信があるほうじゃないけれど、ここは意思の力で必ず持ち上げたい! 「だから、持ち上がった瞬間を逃さず、シャッターを切ってほしいんだ。 「う、うん、分かったよ。氷上くん、頑張って! 「ああ!写真、頼んだよ。 |
スチル |
「むぅ……っ、重っ……。ハア……いくぞーッ!…………今だっ、写真をっ!! 「氷上くん、撮れたよ! 「よし、早速、再生して確認だ。 |
清水寺 |
「へぇ、デジカメって便利だねー。 「……ちゃんと持ち上がってる……。よかった……。 「ありがとう。君のおかげで、いい思い出が出来たよ。 「どういたしまして。……よーし、せっかくだから、わたしも立身出世を目指そうっと! 「あ、いや、それは止めたほうがいい。女性には別の言い伝えがあるから……。 「えっ、どんな? 「……女性が持ち上げると、カカア天下になるらしい。それでも良ければ、止めないけれど。 「ええっ!?……どうしようかな。 「いや、君と一緒ならそれもまた楽しいかもしれないな。 「ああ、いや、えーーーっと……き、気にしないで! 「氷上くん? 「おっ、もうこんな時間だ!そろそろ戻らないと。楽しい時間は、早く過ぎるな。 「うん、今日は楽しかったな! |
ロビー |
「君のおかげで充実した一日になったよ。ありがとう。 「うん、わたしも。誘ってくれてありがとう。 「そう言ってくれると嬉しいよ。……喜んでくれたのなら、言ってもいいな……。 「……? 「ほ、ほら、明後日も自由行動だろ?……また、一緒に回らないか。 「うん、もちろん! 「そうか!それじゃ、この場所で待ち合わせしよう。明後日が楽しみだな。 |
校内 |
---|
「今日は、生徒会執行部の選挙の日だ。もうすぐ立会演説会が始まる……。 進行役「静かにしてください。次は、2年、氷上 格くんです。お願いします。 (あ、氷上くんだ。) |
スチル |
「僕は、みんなに尋ねたい。今の高校生活に満足しているか、と。 「学業に励む人がいる。スポーツに青春を傾ける人もいる。一生の友人を見つける人もいるだろう。 「……ハハッ、これじゃあ、まるで入学式の挨拶だ。 「つまり、はね学に集まったみんなが、それぞれにとって大切な時間を思い思いに作れるように…… 「障害となる問題を洗い出し、僕たち生徒の手でなくしていこうじゃないか。 「問題が学校側にあれ、生徒の側にあれ、僕は……遠慮なく、踏み込んでいきたい! 「そして、一つ一つ解決していこう! 進行役「集計の結果、次の生徒会長は、氷上 格くんに決まりました。 進行役「それでは氷上 格くんに、次期生徒会長としての抱負を…… |
校内 |
「氷上くん、おめでとう! 「君か!ありがとう、これから忙しくなるな。 「そうだね。がんばって! 「もちろんさ。君も、アドバイスを頼むよ。たくさんの意見が聞きたいんだ。 「うん! 「僕はこれから生徒会室に行かないと……。すまない、失礼するよ。 (よかったね、氷上くん!) |
家 |
---|
「そんなに時間は取らせないよ。さぁ、いらっしゃいませ。 |
スチル |
「うわぁ……天体望遠鏡!? 「そう、これが僕の宝物!もう何年も、ここから星空を眺めてる。 「秋の晴れた日は、こうやってレンズを覗くんだ。……いいものが見えるから。 「ねぇ、どんな星が見えるの? 「ハハッ、ただの星じゃないよ……。星々の集う銀河だ。……アンドロメダ座大星雲さ。 「アンドロメダ座大星雲? 「大きな渦巻き銀河の近くに、小さな銀河が、二つ。三つの銀河が、ここにはあるんだ。 「ふぅん……一つじゃないんだね。 「そう。……そして、僕たちがいる銀河系の近くにも、小さな二つの銀河があるんだよ。 「……ということは、さ。アンドロメダからこっちを見ると、同じように見えるんじゃないかな? 「……あ、そうかも! 「ね。ちょっとワクワクするだろ? 「こんな風に、これからも二人で星を見られたら……。 「え?なに? 「あ、いや、何でも…… ……何でもなくはないけど……いや……何でもない、よ。 「?……今度はわたしの番!氷上くん、見せて。 「……ハハ……そうだね。どうぞ、アンドロメダ姫。 「フフッ、氷上くんったら! (銀河を見たあと、氷上君に家まで送ってもらった。) (でも、あの時氷上くんは何を言いかけたんだろう……?) |
スキー場 |
---|
「頬がピリッとするな。……さぁ、滑るか。 「うん! 「雪山なんだから当然だけれど……底冷えするな。 「そう? 「何本も滑り込めば汗も出るだろうけれど、僕たち、止まってる時間が長いからな。 「……うん、確かに冷えてきたかも。 「そうだろう?実は、僕に一つ名案があるんだ。君、ちょっと待っててくれないか? 「えっ、ここで待つの? 「動かないでくれよ〜………… 「えーーーーっ!?……氷上くん、行っちゃった。 |
スチル |
「待たせたな、○○君。 「おかえり、氷上くん。…………? 「ほら。 「…………。 「”特選肉まん”だ。ひとっ走り、買ってきた。あったまるぞ。 「…………え? 「…………いらないのか?ひょっとして、肉まんは嫌いか? 「う、ううん、そうじゃないよ。氷上くんと肉まんが、イマイチ結びつかなくって……。 「……いらないのか。 「……いえ、いただきます。 「そう、良かった。さ、温かいうちに食べてくれ。 「うん!ありがとう、氷上くん。 |
スキー場 |
「お腹が温かくなると、ずいぶん違うだろ?肉まんは正解だったな。 「そうだね、体がポカポカしてきたよ。 「それじゃ、もう一度滑りに行こうか。今度の目標は、転ばずに降りることだ。行くぞ、○○君。 |
花火大会 |
---|
「花火、きれいだったね。……あ、そろそろ帰る? 「…………。 「氷上くん? 「……その……、実は、ちょっと寄りたいところが、……ね、あるんだけれども。 「? 「あの……縁日のさ、射的が、気になるんだ。……一緒に、行かないか? 「あぁ、射的!……フフッ、いいよ。 「ありがとう!君ならそう言ってくれると思ったよ。 |
縁日 |
「……ほら見なよ、あの景品の並び方……。 「取って下さい、と言わんばかりじゃないか? 「そうなの?並び方で分かっちゃうんだ、氷上くん、すごいね! 「……ある意味、僕は景品に呼ばれてここに戻ってきたのかもしれない。 「……射的は初めてだけれど、外れる気がしない! 「えっ?初めて? 「ふっふっふ。まぁ、見ていなさい。 |
スチル |
「あぁ、○○君。どれが欲しい? (……氷上くん……。銃の使い方、間違ってるよ……。) 「遠慮しなくていいから。さぁ、どれにする? 「え、えーっと……。氷上くんが当てたものならなんでもいいよ。 「ハハッ、決められないのかな?よーし、いいものを取ってあげるよ。……それっ!! パン!パン!パン! コツッ |
縁日 |
「…………○○君。ごめん。こんなはずじゃ、なかったんだけれど。 「ううん!ブタさんの貯金箱、かわいいよ。氷上くん、ありがとう。 「……そう言ってもらえると、救われるよ。……どういたしまして。 |
校内 |
---|
(文化祭前は、執行部は大忙しだよ……) (さてと、あれ、まだ部屋に誰か残ってるみたい。) |
スチル |
「氷上くん……もういい時間だよ? 「○○君。ああ、いけない、こんな時間か。 「わたしのほうはもう終わったけど、氷上くんは? 「これから、文化祭期間中の執行部員のタイムテーブルを組むところだ。 「これから!?明日じゃダメなの? 「これを今日作っておけば、執行部のみんな、明日は早く家に帰れるだろ? 「それはそうだけど。 「みんな連日の放課後作業で、疲れているからね。明日はゆっくり休んでもらいたい。 「氷上くんこそ、いつも遅くまで。 「僕はいいんだよ。みんなが一番いい状態で働けるようにするのが、生徒会長の仕事だからね。 「氷上くん…… 「そんなことより、君はもう帰ったほうがいい。お家の方が心配するよ。 「一緒にやる。生徒会長の仕事を助けるのが執行部の仕事だもん。 「ありがとう……よし、サーバに資料をアップするから、抜けが無いか確認してくれるかい? 「はい! |
自宅前 |
「ごめんね、家まで送ってもらっちゃって。 「僕のほうこそ、遅くまで手伝わせてしまった。お家の方に一言お詫びしたほうがいいだろうか? 「ふふ、大丈夫だよ。文化祭、成功するといいね? 「ああ、みんなにはいい思い出を作ってもらいたい。 「氷上くんだって、いい思い出にしなきゃ。 「うん……君のおかげで、最後の文化祭にいい思い出が出来たよ。 「文化祭は明日からだよ? 「……ん?あ、明日さ!明日からだとも!それじゃ僕はこれで、失敬! (……氷上くん?文化祭、上手くいくといいな!) |
文化祭 |
---|
「 「 |
スチル |
「 「 |
文化祭 |
「 「 |
部室 |
---|
(今日で生徒会執行部は代替わり。これから後輩たちに引継ぎだ……。) 「おや?早く来てしまった。○○君、新執行部はまだか? 「うん、そうみたい。 「なんだなんだ、彼らは。心構えが出来てないな。 「フフッ、心配? 「いや、そんなことは……。ただ、これで執行部と離れると思うと、寂しくてこんなこと言うのかもな。 男生徒A「あっ、氷上先輩! 「ん?入らないのかな? 「なんだ、あれは? 男生徒「もう来てるぞ! 女生徒「OK、準備は出来てるわ! 男生徒B「よし、それじゃ、突入! 後輩たち「氷上会長!一年間、お疲れ様でした!! 「なっ……!? |
スチル |
(わぁ、すごい花束……!) 男生徒「氷上先輩!俺たち、先輩の後をついて、がんばります!! 男生徒B「僕らじゃ力不足で、不安かもしれませんが……。 女生徒A「氷上先輩みたいに、信頼される生徒会執行部を作っていきます! 「君たち、ありがとう……。こんな立派な花束まで……。僕は、幸せ者だな。 「僕の後をつぐ、などと言わず、君たちらしい生徒会執行部を作り上げてくれ。 「もちろん、アドバイスは惜しまないよ。何かあったら、いつでも相談に来てほしい。 後輩たち「はい、ありがとうございます!! 「しかし、まぁ……花束なんて、初めてもらったよ。うれしいものだね。ハハハ……。 (氷上くん、うれしそう……。一年間、お疲れ様!) |
パーティー会場 |
---|
「○○君……。ちょっと、外に出られるかな? 「うん、いいよ。 |
会場外 |
「うわぁ……さすがに寒いね。 「あぁ。少しの間だけど、我慢できる? 「うん、大丈夫! 「ありがとう。実はね、君に見せたいものがあるんだ。 |
スチル |
「ここは街から離れているから、星たちが、とてもよく見える。それに、今、季節は冬……。 「冬の空には、一等星が7つもあるんだ。ほら、とっても明るいだろ? 「ほんと……星が降ってきそう……! 「僕も、そう思うよ。……あの一番明るいのが、シリウスだ。太陽の次に明るい恒星だよ。 「シリウスから時計回りに、プロキオン、ポルックス、カペラ、アルデバラン、リゲル。 「この6つをつなげて、オリオン座のベテルギウスを囲んだ六角形を作ってみて。 「うん。…………あ、出来た! 「出来た?この六角形にはね、名前があるんだ。 「どんな名前? 「”冬のダイヤモンド”。 「……きれいな名前……。 「これが、僕からのクリスマスプレゼント。今夜は、君だけのものだよ。 「ありがとう、氷上くん。 「本格的に冷えてきたな。風邪をひいちゃいけない、もう中に入ろう。 「うん。 「……クリスマスの夜に、君と星の話ができた。時間のプレゼント、ありがとう。 「氷上くん……。 「○○君。……メリークリスマス! 「フフッ、メリークリスマス! (こうして、2008年のクリスマスイブは終わった……。) |